クラシック
イタリア・オペラを観ると、「こりゃ日本でいえば歌舞伎か新国劇ってところだな」 と音吉は思うんです。オペラの化粧も、時代を遡るほど歌舞伎の隈取りにも似た独特のものになりますし、熱狂的に「ブラボー(ブラバー、ブラビー)」と声のかかる様は、「成駒…
イギリスにとって17世紀は、清教徒革命と王政復古という国家の屋台骨を揺るがす事態が続いた激動の時代でした。 この凄惨な時代を生きた人々の中に、マシュー・ロック(Matthew Locke, 1621頃 - 1677)という名の作曲家がいました。 音吉がマシューの音楽に…
少年の頃から物事を整理するのが苦手だった音吉にとって「分類」とか「仕分け」と呼ばれる作業は苦行以外の何ものでもありません。グラデーションがあるとはいえ所詮はひとつの塊であるものを切り分けるわけですから、これはある意味、暴挙なんだと思うんで…
人は思わぬところでトンでもない人物に出会っているものです。 何年であったのかがどうしても思い出せないのですが、おそらくは1970年前後であったと思います。 木枯らしの吹きすさぶ冬の夜で、コンサートとなれば嬉々として出向く音吉が気後れしてグズると…
以前に、演奏者と作曲家の文化的な違いが音楽に反映することがあるという投稿をしたことがありますが、今回もそんな類のお話です。 アンドレ・マルシャル(André Louis Marchal, 1894 – 1980)というフランスのオルガニストをご存知でしょうか。 ドイツのヘ…
自作自演というと、なんだか嘘つきのアリバイみたいですが、今回は作曲家が自分の作品を演奏するという本来のお話です。それも19世紀末から20世紀初頭にかけての作曲家が遺した自作自演の録音なんです。 管の表面にロウを塗ったロウ管(wax cylinder)を機械…
音楽の好みは人それぞれ。親子といえども好きな作曲家や演奏者が一致するのは稀なことです。 音吉の家族もそうで、バロック音楽に限っていえば、父はJ.S.バッハ、母はパーセル、そして音吉はラモーと、てんでバラバラでした。 それでも例外はあるもので、唯…
東武東上線成増駅前にモスバーガーの一号店が開店し、横浜からトロリーバスが消えてブルーラインが開業し、世界発の卓上電卓「カシオミニ」が発売された1972年のことです。 音吉は、中学2年生になるのを機にピアノ・レッスンを「卒業」したんですが、そのお…
音吉少年がショパンに入れ込んでいたお話は以前にした通りです。 正確にいえば「サンソン・フランソワ(Samson François, 1924 - 1970)のショパン」に熱中していたんです。高慢ちきといえるほど気位が高く、むらっ気があり、それでいて繊細という性分のゆえ…
先だって、Facebookのお友達から、「聞き比べ楽しいですよね。指揮者別も面白いですよ」 というコメントを頂きました。まことにもってその通りだと思い、今回は規模の小さな合奏協奏曲で聴き比べをやってみたいと思います。 曲はJ.S.バッハのブランデンブル…
今日は、小学生の音吉が熱に浮かされたように聴いていたショパン(Frédéric François Chopin, 1810 - 1849)の作品から『幻想即興曲(即興曲第4番嬰ハ短調 作品66, Fantaisie-Impromptu)の聴き比べをしてみたいと思います。「同じ曲でしょ、じゃあ誰が弾い…
ディスク社の音楽雑誌『世界名曲シリーズ』第4集より レコード世代の方なら、たぶん「ソノシート(Sonosheet, [英] Flexi disc)」のことはご存知でしょう。ペラペラの塩化ビニール製レコードで色は様々。サイズはシングル盤と同じ17センチ(稀に8センチ盤…
www.youtube.com 3楽章のみです。全曲を聴きたい方はこちらをどうぞ。 https://www.youtube.com/watch?v=8z72vIfeINo 子供時代にクラシック音楽に親しみ、モーツァルトが嫌いだったという方は、あまりいないんじゃないでしょうか。明快で愛らしいモーツァル…
www.youtube.com 以前に取り上げたノートルダム楽派のギヨーム・ド・マショーから200年も経たぬ15世末、西欧の音楽はノートルダム楽派の頃のオルガヌム(Organum, 四度か五度の二声の和声)のような素朴なポリフォニー(Polyphony, 多声音楽)から更に複雑な…
父の持つ赤盤(赤い色のレコード)の中に、ひときわ子供心をくすぐるものがありました。ジャケの体裁も立派なハードボックスで、レコードは一枚しか入っていないのに、ライナーノーツがちょっとしたムックの体裁になっているもので、シンプルで美しいサウン…
プレトリウスの記事で書いた父のレコード全集の中で、ひときわ音吉少年を魅了した作曲家がいました。ギヨーム・ド・マショー(Guillaume de Machaut, 1300[?] - 1377)です。 ギヨーム・ド・マショーは14世紀の西欧を代表する作曲家にして詩人です。シャンパ…
音吉少年は、高校生になって民族音楽にのめり込むことになるんですが、そのきっかけになった音楽との出会いが小学4年生の頃にありました。 音吉の父が揃えていたドイツ・グラモフォンのレコード全集(中世からバロックまでだったと記憶しています)があった…
音吉少年は、どうしてかドイツ語圏の作曲家とは相性が悪かったようで、とくにベートーベンにはほとんど関心がありませんでした。というか好きじゃなかった。何なんだろうなぁ、心が共振しないんです。あ、『ロマンス第2番ヘ長調作品50』は好きでしたが。 も…
音吉少年は、他の少年たちと同じく好奇心が抑えられないタチで、「ダメ」と言われれば、ついその禁を犯すことになってしまうのでした。 レコードにしてもそうで、演奏家や作曲者とは無関係に盤自体に特徴があると、それが何か特別な宝物であるかのように思え…
前回に続き、音吉の父の愛蔵盤で、よく聴かせてもらったレコードの中から、マルカントワーヌ・シャルパンティエ(Marc-Antoine Charpentier, 1643 - 1704)の『聖週間のルソン・ド・テネーブル』を取り上げたいと思います。 シャルパンティエの曲で一般に知…
ピエール・モントゥー(Pierre Monteux, 1875 - 1964)は、前世紀を代表するフランス人の指揮者です。若い頃にディアギレフのロシア・バレエ団に所属してタクトを振ったことから、ラヴェルの『ダフニスとクロエ』やストラヴィンスキーの『春の祭典』『ペトル…
音吉の父は何でもかんでも息子にレコードを分け与えてくれたわけではありません。当たり前ですよね、中には盤自体が貴重なものもあれば本当に惚れ込んだ演奏家のものがあるんですから。それに音吉はまだ子供でしたからレコードの扱いは乱暴で、下手をすれば…
音吉は生まれもっての天邪鬼。 「バッハといったら『トッカータとフーガニ短調』と『G線上のアリア』でしょう!』 なんて言われると、 「ケっ」 とか言って耳を塞いじゃうようなところがありました。たぶん方々で耳に飛び込んできて飽きちゃったんでしょうね…
ワンダ・ランドフスカのドーナツ盤の次に音吉の餌食になった父のレコードは2枚。いずれも25センチ盤(10インチ盤)で、最初はサイズが物珍しくて手を出したのだと思います。小学1年生の時でした。ランドフスカのレコードとの間には1年半ほどのブランクが…
はじめまして! 野良ネコ音吉(おときち)です。 僕は音楽が大好きです。父が大の音楽好きで、貧乏な家庭なのにレコードだけは山のようにあったせいでしょうか。幼稚園児の時分には音楽の虜になっていました。 初めて大人の手を借りずに針を落とした(懐かし…