バブルガム・ポップ(Bubblegum pop)というポップスのジャンルをご存知でしょうか? 時は1960年代。10代の子たちをターゲットにしたポップスで、明るく分かりやすいメロディと歌詞が特徴です。
「ポップスって若者が聴くものなのに何でわざわざバブルガムなんていうの?」
という疑問をもった方もいらっしゃるでしょう。たしかに今時の感覚ではそうなんですが、当時はまだレコードを買う財力のある大人向けのポップスが主流でした。ビートルズが世界中の若者に対して強烈にアピールしたのもそのためでしたが、同じようにバブルガムもその後のポップスの潮流を劇的に変える立役者であったといえるでしょう。
そんなバブルガム・ポップで1968年に350万枚のミリオンセラーを叩き出したナンバーがありました。1910フルーツガム・カンパニーの『サイモン・セッズ(Simon says)』です。
1910フルーツガム・カンパニー(1910 Fruitgum Company)は、スーパーKプロダクション(Super K Productions)を共同経営していた音楽プロデューサーのジェフリー・カッツ(Jeffry Katz)とジェリー・カセネッツ(Jerry Kasenetz)が1965年に立ち上げたユニットです。二人が共同で音楽を作ったり演奏したりするときに使う名称として用いられていたもので、実体としてのバンドではありませんでした。なのでバブルガム・ポップが下火になった1970年、スーパーKプロダクションが廃業したのをもって「解散」したことになっています。
音吉にとっては、先日紹介したメリー・ホプキンの『悲しき天使』に続いてゲットした2枚目のシングル盤が『サイモン・セッズ』でした。先のお買い物からひと月も経っていなかったので、母は、
「この前買ったばっかじゃないの。ダメよ!」
ぴしゃりとダメ出しをしたんですが、結局、ぐーたらびーたらとしつこくねだる息子に根負けして買ってくれました。
サイケデリックなデザインのジャケは正直言って子供心に「ダッせー」と思ったものの、曲にはノリノリアゲアゲ。レコードをかけては友だちと踊り回っていました。踊って遊べる曲は他にもありましたが、それはまたいずれ。
ところでタイトルの「サイモン・セッズ」ですが、これって遊びなんですね。音吉は半世紀生きたところでようやく知りました。遊び方を説明しましょう。
まず指示を出すリーダーと遊び手(参加者)を決め、次のようにゲームを進めます。
リーダー:「サイモンは盗賊の親分で、君らは子分だ。親分の言うことをよく聞けよ!」
参 加 者 :「アイ・アイ・サー!」
リーダー:「Simon says, touch your head!」
参 加 者 :(頭に触る)
リーダー:「Simon says, touch your nose!」
参 加 者 :(鼻に触る)
リーダー:「Simon says, touch your leg!」
参 加 者 :(足に触る)
リーダー:「Touch your neck!」
ここで首に触った人は脱落です。「Simon says」と言っていませんから。
指示を例文のようにすれば子どもたちの英語の勉強になるかもしれませんし、「サイモン(親分)の命令だ、頭に触れ!」なんて日本語にしたっていいでしょう。また椅子取りゲームのように一人、また一人と抜けていって、最後に残った人が勝ち、なんてルールにしたっていいし。これなら子供と大人が一緒に遊ぶこともできますよね。コロナウイルスのせいで外遊びもままならない子供たちとご自宅で遊んでみてはいかがでしょうか?